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東京地方裁判所 昭和52年(特わ)338号 判決 1977年6月29日

被告人

本店所在地

東京都墨田区横川五丁目三番一四号

興和鋼業株式会社

(右代表者代表取締役鵜飼弘)

本籍

東京都墨田区横川五丁目四番地

住居

同都同区横川五丁目三番一四号

職業

会社役員

鵜飼弘

昭和一四年一〇月二三日生

検察官

清水勇男

主文

被告会社興和鋼業株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人鵜飼弘を懲役六月にそれぞれ処する。

ただし、被告人鵜飼弘に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都墨田区横川五丁目三番一四号に本店を置き鋼板の販売、シヤーリング加工等を営業目的とする資本金二、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人鵜飼弘は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人鵜飼は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年二月一日から同四九年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一〇七、〇九三、五八〇円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、同年三月二八日、東京都墨田区業平一丁目七番二号所在の所轄本所税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三三、六七五、七八二円でこれに対する法人税額が一〇、五二四、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出してそのまま申告期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七、四七七、〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告額との差額二六、九五二、一〇〇円を免れ

第二、昭和四九年二月一日から同五〇年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三六、七三一、一五二円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、同年三月三一日、前記本所税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五、八六一、八七〇円でこれに対する法人税額が五、〇七〇、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一三、三七九、四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額八、三〇九、四〇〇円を免れ

第三、昭和五〇年二月一日から同五一年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六、四二五、五二二円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、同年三月三一日、前記本所税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、六四四、五六二円でこれに対する法人税額が零であるが所得税等の控除不足額として還付されるべき金額が七一二、一五八円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四、二七七、五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告額(還付額)との合計四、九八九、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全般にわたり

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人に対する収税官吏の質問てん末書一四通

一、被告会社の会社登記簿謄本

一、押収してある次の証拠書類(昭和五二年押第九九五号)

1  総勘定元帳四綴(符一、二、五、七)

2  法人税確定申告書四綴(符三、四、六、八)

別紙各修正貸借対照表の当期増減金額の勘定科目別算出根拠につき

<現金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月四日付現金各期末残高調査書

<預金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月七日付預金残高及び税引後受取利息調査書

<割引商工債券>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一一月二七日付割引商工債券残高及び受取利息調査書

<商品>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月八日付商品調査書

<出資金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月一〇日付出資金調査書

<価格変動準備金>

一、本所税務署長作成の昭和五二年一月五日付証明書

<貸倒引当金超過49/1期分>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月九日付貸倒引当金超過調査書

<未納事業税>

一、収税官吏田中敏作成の昭和五一年一二月一〇日付未納事業税調査書

一、収税官吏杉山進作成の昭和五二年六月二二日付回答書

<源泉所得税仮払金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月七日付預金利子源泉所得税仮払金調査書

<支払手形>

一、高田保弘に対する収税官吏の質問てん末書

一、時任教精の検察官に対する供述調書

一、押収にかかる決済ずみ約束手形三枚(押第九九五号の符一一)のうち額面一、〇〇〇万円のもの二枚の存在

<社長勘定>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月八日付社長勘定調査書

一、収税官吏杉山進作成の昭和五二年六月二二日付回答書

<51/1期分の各受取手形、買掛金、譲渡手形、未収金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一一 六日付未収金、受取手形、譲渡手形、買掛金調査書

<預り金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一一月二〇日付「預り金として公表に繰入れた定期預金」及び「税引後受取利息」調査書

<貸倒引当金51/1期分>

一、大蔵省事務官斉藤茂作成の昭和五一年一二月一七日付「株式会社共栄商会に対する貸倒れ処理に伴う貸倒引当金の計算」と題する書面

<繰越利益金>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月八日付社長勘定調査書

一、収税官吏杉山進作成の昭和五二年六月二二日付回答書

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一一月一九日付「四九年一月期と五〇年一月期の修正確定申告により五一年一月期に公表に組入れた定期預金と税引後受取利息」調査書

<従業員仮払金51/1期分>

一、収税官吏斉藤茂作成の昭和五一年一二月一八日付従業員仮払金調査書

(法令の適用)

被告会社につき

判示各所為は、いずれも法人税法一五九条、一六四条一項該当。

刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

判示各所為は、いずれも法人税法一五九条該当(いずれも懲役刑選択)。

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)、二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙(一)

修正貸借対照表

興和鋼業株式会社

昭和49年1月31日

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

興和鋼業株式会社

昭和50年1月31日

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

興和鋼業株式会社

昭和51年1日31日

<省略>

<省略>

別紙(四)

税額計算書

興和鋼業株式会社

<省略>

<省略>

〔参照条文〕 ・法人税法66条

・租税特別措置法67条の2

・昭和49年租税特別措置法附則12条

〔注〕 被告会社は51/1期の法人税確定申告書提出の際所得金額が2,644,562円でこれに対する法人税額が零であるが、所得税等の控除不足額として還付されるべき金額が712,158円であるとして申告している。

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